国の認定容量(500kW以上)を正解に、地図(OSM)・借りた完成品(TZ-SAM)・自作の検出器で福岡県の大規模太陽光を数えました。借りた完成品と地図は国の台帳の9割をとらえ、自作は1.56倍に数えすぎました。その余分は、ほとんどが水面と屋根でした。
国は、再生可能エネルギーの事業計画認定情報で市町村ごとの導入容量を出しています。福岡県の500kW以上は合計 1,252 MW。ただし市町村の数字で、どこにあるかは出ていません。
地図(OpenStreetMap)には、ボランティアが描いた太陽光発電所の形があります(福岡県内の0.5 ha以上で443か所)。借りる候補は TransitionZero の Solar Asset Mapper(TZ-SAM)で、衛星と機械学習で世界中の発電所を見つけ、1か所ごとに推定容量を付けて無料で配っています(県内244か所・2024年1〜3月時点)。自作は Sentinel-2 で、2024年に一度も緑にならず、NDBI の年平均が高い場所を太陽光とします。
市町村ごとの合計を国の台帳と比べました。前回の測定では、検出と国の台帳の相関 0.94 が市町村の面積との相関 0.87 に引きずられていたので、今回は面積を対抗馬に置き、面積を除いた偏相関で比べます。
借りた完成品は予測どおり国の台帳の 0.94倍で、面積を除いても 0.73。地図も 0.91倍・0.73 で並びました。自作は順位相関 0.62、面積を除くと 0.33 で予測の範囲でしたが、合計は 1.56倍と、0.4〜0.8倍と読んだ予測を外しました。少なく数えると思っていたら、多く数えていました。
自作が見つけた1,613か所のうち、地図の発電所から200 m以上離れているのが1,330か所・1,599 ha。そこから無作為に16か所を選んで航空写真で見ました。

水面が8か所(港・防波堤・川・ため池・海岸)、大きな屋根が6か所(工場・倉庫・住宅地)、造成地が1か所。地図に載っていない本物の太陽光は1か所(#2、4.4 ha)でした。
水面は近赤外も短波赤外もごく小さいので、比を取ると値が暴れて閾値を越えます。水を外す条件を足せば半分は消えるはずですが、それは検証窓を見たあとで足すことになるので、足していません。学習に使っていない窓での成績は、地図を正解にして再現率 0.33・適合率 0.37で、1枚の画像で測った前回(0.47・0.38)より良くなっていません。
借りた完成品と地図は、合計がどちらも国の台帳の9割です。ところが1か所ずつ突き合わせると、TZ-SAM の点のうち地図の発電所から200 m以内にあるのは69%、地図の発電所のうち近くに TZ-SAM の点があるのは51%しかありません。
TZ-SAM が落としているのは小さい発電所(地図の面積で中央値1.1 ha。拾えているほうは2.6 ha)、地図が落としているのは中くらいの発電所(TZ-SAM の推定で中央値2.5 MW)です。どちらにも抜けがあり、それでも合計が合うのは、抜けと、1か所ごとの容量の見積もり(TZ-SAM)や面積からの換算(地図)の誤差が、打ち消し合っているからだと考えられます。市町村の合計が合っていても、個々の発電所の場所が正しいとは言えません。
林業のページと同じ形です。完成品が無料で配られていて、それが自作より良いなら、作る理由はありません。
ただし太陽光では、線を引くのは精度ではなくライセンスでした。TZ-SAM は CC BY-NC 4.0(非営利なら出典を書いて使える)で、商用で使うには TransitionZero の許諾が要ります。OpenStreetMap は ODbL で商用も使えますが、手を加えたデータは同じ条件で公開する必要があります。国の認定情報は無料で使えますが、市町村単位です。無料で行ける範囲は、使う目的で変わります。
屋根の上の太陽光は数えていません。国の台帳の比べる相手も500kW以上に絞っています。2024年4月以降にできた発電所は TZ-SAM に入っていません(この版は2024年1〜3月時点。新しい版は配布元のサイトにあります)。また、国の台帳は認定の所在地で数えるので、市町村の境目にまたがる発電所は、地図とずれることがあります。