衛星データの用途としてよく挙がる15業種を、対象地域を福岡に固定して全部実装して実際に走らせた記録です。使ったデータはすべて無料で、アカウント登録も課金もありません。
各ページには出せた数字と、出せなかった理由の両方を載せています。後者を書いてある場所が他にないので、そこがこのサイトの中身です。
1業種1ページで、地図は上、数字が答えていないことは下です。15業種、全部そろいました。
「無料だから精度が足りない」で片づけると、壁の形が見えません。15ページで当たった壁を分けると5種類あり、越え方がそれぞれ違います。お金で越えられるのは、解像度と、撮る時刻・回数の2つだけです。
壁ではない発見もありました。林業とエネルギーでは、自作より、無料で配られている完成品のほうが正解に近かったのです(森林は Hansen、太陽光は TZ-SAM が国の台帳の0.94倍)。インフラも位相は作れず、国土地理院の成果を借りています。作る前に、完成品があるかを探すほうが先でした。
15本を最初に走らせたとき、4本が間違っていました。全部エラーを出さず、それらしい数字を返していました。雲を外し忘れて地表面温度の幅が水増しされた、絶対45度の閾値が真夏に飲まれて対象の53.8%が該当した、指標の結果を「空き地」と呼んでいたが拾っていたのは市街地だった、対抗馬を置いていなかった。
追試では「限界」と書いていたもののうち1件が、自分のバグでした。正解データを当てるまで、バグは限界の顔をして台帳に残ります。
ページを作っている最中にも出ました。英彦山の積雪で「雪」と判定した画素を近赤外で調べたら、99%が水面(ダムや池)でした。積雪指数は「緑が短波赤外より強い」ところを雪としますが、水も短波赤外を強く吸うので同じ条件を満たします。近赤外の条件を足すまで、それは雪の地図ではなくダムの地図でした。
環境のページは、直したつもりの結論が、別の誤りの上に立っていました。3.3km の格子で NO2 の地図を描いたら赤と緑が散らばる市松模様になり、格子を粗くしていって「11.1km で構造が立つ。カタログの1画素の約3倍粗いところが実際に使える細かさ」と書きました。ところが本当の原因は、品質フラグの倍率(0.01)を掛け忘れて低品質の観測を全部通していたことと、夏ごとに新しい順90件だけ取っていて8月末の数日しか入っていなかったことでした。品質で切って188軌道を重ねると、3.3km の格子でも模様は安定します。症状に合わせて格子を粗くしても、原因は直っていませんでした。
1業種1ページにしてからも出ました。雲マスクの向きを逆に使い、防災のページに誤った記述を3つ書いて公開してしまいました(2026-09-11 に訂正し、ページに経緯を残しています)。保険は答え合わせの相手を間違え、運輸では予測を凍結したあとで測る範囲を広げて誤報を増やしました。後半の7ページは走らせる前に予測を書いて固定し、外れもそのまま本文に載せています(当たったのは、不動産が5本中1本、運輸とインフラが5本中2本)。
こういう否定的な結果は、データを配る側にも使う側にも書く理由がありません。各ページの下半分は、そのために置いてあります。