福岡 / 無料の衛星データだけで

衛星で見る福岡

衛星データの用途としてよく挙がる15業種を、対象地域を福岡に固定して全部実装して実際に走らせた記録です。使ったデータはすべて無料で、アカウント登録も課金もありません。
各ページには出せた数字と、出せなかった理由の両方を載せています。後者を書いてある場所が他にないので、そこがこのサイトの中身です。

業務に使える
8
問いに答えられる数字が出た
限界に当たった
7
数字は出るが、問いに届かない
データが無くて失敗
0
15本すべて最後まで走った
費用
0 円
有料の壁は買わずに線を測った

公開しているページ

「面を測る」型から順に出しています。1業種1ページで、地図は上、数字が答えていないことは下です。いま6ページ。

これから出すページ

型を1本仕上げるたびに、その型で完結する業種が出せます。コードは型ごとに5本、ページは業種ごとに15枚。

林業型B
伐採跡の検出。分位閾値で到達済み
防災・減災型B
SAR差分。平常時どうしでも 7.67% が誤検出
保険型B+E
植生の指数。2017年の被害を拾えなかった
不動産型B+D
指数が建物を見ていない(内0.077/外0.090)
エネルギー型D
太陽光パネル。正解で引き直して再現率0.2%→47.4%
金融・投資型E
工場の熱異常。相対閾値で 168.5 ha・46か所
小売・商業型C
車が地面に沈むのは 2.46 m/px。無料の10mでは届かない
運輸・空港型C
機体が沈むのは 4.13 m/px
インフラ点検借りる
位相は自前で作れない。国土地理院の成果を借りる

止まった7業種は、4種類の別々の壁でした

「無料だから精度が足りない」で片づけると壁の形が見えません。分解して数えると4種類あり、越え方がそれぞれ違います。越えられないのは1種類だけです。

いちばん役に立つのは、間違えた記録のほうです

15本を最初に走らせたとき、4本が間違っていました。全部エラーを出さず、それらしい数字を返していました。雲を外し忘れて地表面温度の幅が水増しされた、絶対45度の閾値が真夏に飲まれて対象の53.8%が該当した、指標の結果を「空き地」と呼んでいたが拾っていたのは市街地だった、対抗馬を置いていなかった。

追試では「限界」と書いていたもののうち1件が、自分のバグでした。正解データを当てるまで、バグは限界の顔をして台帳に残ります。

ページを作っている最中にも出ました。英彦山の積雪で「雪」と判定した画素を近赤外で調べたら、99%が水面(ダムや池)でした。積雪指数は「緑が短波赤外より強い」ところを雪としますが、水も短波赤外を強く吸うので同じ条件を満たします。近赤外の条件を足すまで、それは雪の地図ではなくダムの地図でした。

環境のページでは、間違いを直したことがいちばん良い結果になりました。カタログどおり 3.3km の格子で NO2 の地図を描いたら赤と緑がランダムに散らばる市松模様になり、隣接格子の相関を測ると -0.075 ── 見た目は地図で、中身はノイズでした。格子を粗くして走査すると 11.1km で構造が立つ。カタログの1画素(5.5 x 3.5 km)の約3倍粗いところが、実際に使える細かさでした。

こういう否定的な結果は、データを配る側にも使う側にも書く理由がありません。各ページの下半分は、そのために置いてあります。

衛星で見る福岡 / 無料の衛星データがどこで詰まるか
データ: Landsat 8/9・Sentinel-1/2/5P・MODIS・Esri土地被覆(Microsoft Planetary Computer、アカウント不要)/ Project PLATEAU(国土交通省 CC BY 4.0)/ 国土地理院タイルOpenStreetMap(ODbL)
生成は手元で行い、公開しているのは静的ファイルのみ。