冬に雪はどれくらい積もるのか。Landsat の積雪指数(NDSI)で 2013〜2026年の12〜2月を見て、画素ごとに「観測のうち何割で雪だったか」を数えた。結果は、探していたものとは違うことを教えてくれた。
13年ぶんの冬を通しても、雪が観測される場所も回数もごくわずかです。九州の低山では、そもそも雪がほとんど積もらない。登山の可否を左右しているのは雪ではなく雲と雨のほうで、それは「積雪を測る」という最初の問いの立て方が土地に合っていなかった、ということです。
積雪指数(NDSI)は緑の光が短波赤外より強いところを雪とみなします。ところが水も短波赤外を強く吸うので、ダムや池が同じ条件を満たしてしまいます。最初の計算で「雪」と判定された309画素を近赤外で調べたら、近赤外の中央値が 0.023(雪なら0.15以上、水なら0.05未満)で、99%が水面でした。本当に雪らしいのは309画素中2画素だけ。近赤外の条件を足すまで、この地図はダムの地図でした。
13年ぶんの中央値を取ると、雪が無いのが普通なので全域が同じ値になり、地図として何も言いません。しかも設定した表示範囲(NDSI -0.2〜0.8)に対し実際の分布は -0.58〜-0.28 で、全部が範囲の外に出ていました。地表面温度のページで踏んだ「スケールが実分布と合っていない」とまったく同じ罠です。中央値ではなく「観測のうち何割で雪だったか」に変えて、ようやく場所の差が出ました。
NDSI は雪があるかないかしか言いません。深さは測れないので、「膝まで埋まるのか、うっすら白いだけか」は区別できません。登山の判断に必要なのは後者の情報です。
衛星が見ているのは上から見える面だけです。樹冠に覆われた登山道の雪は、原理的に写りません。英彦山は森林に覆われた山なので、この制約はかなり効きます。
この結果は英彦山という土地の結果であって、積雪の測り方の結果ではありません。同じ手法を東北や北海道に当てれば、まったく違う絵が出ます。ここで得た「効くのは雪より雲」を全国に一般化してはいけません。