衛星で見る福岡 / 不動産
衛星で、どこで開発が進んでいるかが分かるか
—
——
↓ この数字が答えていないこと

この地図が答えていること/いないこと

2019年から2024年に福岡県で緑が消えた場所は597か所・700 ha。市区町村ごとに建築着工と比べると順位相関は0.24で、人口(0.95)にまったく及ばず、人口を知っていれば何も足しません。写真で中身を見ると、大きいものは太陽光発電所、無作為に選ぶと造成・建物は半分でした。

前回は「空き地」で止まった。今回は「緑が消えたか」を見る

前回の測定では、空き地や駐車場を衛星で探そうとして、密な市街地では指数が建物を見ていない(NDBI が建物の中 0.077、外 0.090)ところで止まりました。

今回は問いを替えました。建物そのものではなく、緑が消えたかどうかを見ます。2019年に一度でもよく茂った(年間最大NDVI 0.6以上)のに、2024年は一度も0.35に届かなかった30mの画素を「緑が消えた」とし、0.5 ha以上のまとまりだけを残しました。季節で畑の緑が入れ替わっても、1年の最大値なら毎年どこかで緑になるので、ほぼ消えません。

答え合わせの相手は建築着工統計(2019〜2023年の合計)です。統計は市区町村ごとの「どれだけ」は出しますが、「どこで」は出しません。衛星が足せるのは「どこで」で、その地図が信用できるかを、市区町村ごとの合計が統計と揃うかで確かめます。

予測を先に凍結して、ほとんど外しました

走らせる前に5つ予測を書きました。当たったのは「人口増減のほうが衛星より着工をよく当てる」だけで、あとは外れです。

衛星と着工の順位相関は +0.24(予測は0.5〜0.7)。人口と面積を除くと +0.12、着工棟数では +0.01 で、何も残りません。木造の棟数のほうが強く連動するという予測も外れました(+0.26 と +0.24、差はほとんど無い)。外れ値の予測は半分だけ当たり、着工が多いのに緑が消えていないのは福岡市中央区・南区・早良区・城南区・春日市でした(博多区は入らず)。

着工は、人口でほぼ決まっていました

市区町村ごとの着工床面積は、人口だけで順位相関 +0.95。木造の棟数でも +0.95 です。人の多い所で多く建つ、という当たり前のことですが、これが対抗馬として強すぎて、衛星の入る余地がありません。

しかも着工の中身の多くはすでに市街地の場所での建て替えです。中央区や南区では、建物が建て替わっても緑は消えません。衛星が「緑が消えた」で拾えるのは、畑や森が新しく街になるときだけで、それは着工全体のごく一部でした。

緑が消えた場所の中身を、写真で見ました

「緑が消えた」597か所のうち、大きい順に8か所と無作為に16か所を選び、国土地理院の航空写真で見ました。

緑が消えた24か所の航空写真。赤丸がその場所
赤丸が「緑が消えた」まとまりの中心。見出しは番号・大(大きい順)か無(無作為)・面積・2019年→2024年の年間最大NDVI。写真は国土地理院 シームレス空中写真で、撮影時期は場所によって違い、変化の前の写真も混じる

大きい8か所のうち3か所は太陽光発電所(#1・#4・#7、8か所の面積の約4割)。残りは工事中の施設1、森のまま写っているもの2、判定できないもの2。

無作為の16か所では、造成・建物が8か所(新しい大型の建物・宅地の造成・住宅地の中の空き地など)、畑の作付の変化4、ため池2、森2。「緑が消えた」のうち開発らしいのは、数で半分でした。面積の大きい太陽光と森の変化が山間の町に集まるので、市区町村の合計が着工と揃いません。

借りた土地被覆は、ちらつきながら少し当たる

同じことを Esri の年次土地被覆(io-lulc)の「市街地」で試しました。2018年から2023年に市街地になったのは 7,993 ha、市街地でなくなったのは 8,383 ha。5年で福岡県の市街地が8,000 ha 消えることはないので、大半は年ごとのちらつきです。

それでも、人口と面積を除いたあとの着工棟数との偏相関は +0.32 で、自作の +0.01 より上でした。「借りるほうが、ちらつくぶん自作より悪い」という予測は外れです。緑を見るより、市街地かどうかを学習した分類のほうが、建つ場所に近いものを拾っていることになります。

見えないもの

建て替えは見えません。着工が多いのに緑が消えない区の上位はすべて、もともと市街地の場所です。1軒ずつの新築も見えません。30mの画素に住宅1軒(敷地200 m²ほど)は入りきらず、0.5 ha 未満のまとまりは落としています。太陽光と伐採は、開発と区別できません。どれも「緑が消えた」として同じ色になります。

有料の線

「どこで建ったか」を1軒単位で知るには、屋根が見える解像度が要ります。無料の10mでは車でさえ境界の4倍粗く(トップページの壁1)、住宅1軒は写りません。ここは商用の高分解能画像の領域です。

ただし、市区町村単位の「どれだけ」なら、人口と統計ですでに足りています。衛星が要るのは「どこで」の地図のほうで、その地図の半分は開発ではありませんでした。

データと再現

衛星で見る福岡 / 不動産 / 衛星で、どこで開発が進んでいるかが分かるか
使用データはすべて無料・アカウント不要。生成は手元で行い、このページは静的ファイルのみ。 ほかの業種を見る
行政の公式サイトではありません。運営:株式会社オールフェスタ